権威はまだあるか

昔、もう４０年以上も前になるか、私が尊敬する人が、

「権威は？」

と、問われた　時、

「それは、マスコミです」

って、応えていたが、当時はあまりよくわからなかった。

ところが、その意味するところが今ではよく理解できる。



今思うと、当時からマスコミの本質と、視聴する大衆との関係を明確に知っていたんだと思う。

今はもうテレビや新聞に権威を感じ、それを盲目的に信じてしまう人はいないだろうが、それでも、多大な影響を受けているだろう。

今東光が、新聞は読めば頭が悪くなると、応えていたが、

その理由は、新聞は毎日ニュースを報じ、今日のニュースは昨日のニュースを忘却に追いやり、今日のニュースは明日のニュースがかき消していくから、せっかく覚えた大切なことまで一緒に忘れ去ってしまう、そう書いていた。

これらに影響を受けたわけではないが、４０年前から、新聞は読んではいない。




語学センスって、あるかどうかわからないが、外国語を簡単に覚えてしまう人と、そうではない人がいるのはよくわかる。

ロスアンジェルスに行ったとき、もう４０年も前だが、当時の日系人は、英語がうまいとは思えなかった。

ブラジルの日系人も同じで、ポルトガル語がうまい一世の日系人はいなかった。

ペルーでも、アルゼンチンでも、パラグアイでも、日系一世でスペイン語に流ちょうな人は、一人二人くらいだった。

それで、（ああ、現地に生活すればだれだって現地語は話せるは、ウソだった）と理解できた。

理屈で覚えた大人は、勉強するのも理屈で覚えるからか、差が出るんだなって思った。

後年、ニューヨークで知り合った日系一世は、とにかく英語がうまかった。ロスアンジェルスとの差にびっくりしたことがある。



いまだに語学のできない自分としては、スペイン語も英語も、話せる人や通訳までできる人は、それだけで無条件で尊敬してしまう。

マスコミの権威はすでに自分の中ではまるでないが、

語学のできる人にはあこがれを感じる。