ホントの侵略

メキシコの友人から、メキシコ人は、道を訊ねたとき、自分が知らなくても、さも知っているように教えるという。

しかも、それは意地悪でもなんでもなく、メキシコ人の「気の遣い方」だと、

昔、聞いた。

自分が知らなくても、さも知っているように教えるのは、

自分に訊ねた人をがっかりさせないためなのか、

分からないが、仮にこれがホントに、メキシコ人の気の遣い方なら、そのような文化、習慣、伝統などに

その影響を受けたものがあるはずだが・・・・、

それは、なんだか分からない。



ペルーに生活した時、日系ペルー人に、ペルー人の扱いというか、付き合い方について、いろいろ注意を受けた。

一つ、ペルー人は嘘つき、恥を知らない、他人の物はなんでも盗む。

こんなことなら、日本人にだっているが、その割合が問題で、数字では表せないが、

どの日系ペルー人も、口をそろえて同じことをいう。

長いペルー生活だったが、まさに日系ペルー人の言う通りの体験を、際限なくした。

体験はしたが、特にそれでひどい目にあったということはなかった。なので、

ペルー人を嫌いになることはなかった。

さまざま、注意をしてくれた日系ペルー人には、ありがたいが、

実際ひどい目にあったのは、実は日系人だった。

日系人とネイティブ、本質は同じで、変わるところはなにもない。



インカ帝国は、スペイン人による姦計と、ウソと、インカ人の真面目な資質を利用して、征服された。

仲良くしていた日系人の物知りから聞くと、

インカを征服したピサロたちは、本国ではドロボー集団で、もともとアウトロー。

そんな連中の影響をうけたインカ帝国の子孫たちは、文化、伝統、精神までボロボロにされ、

その結果がいまのペルー人だ、という。

ちなみに征服だとか、侵略だとかいうのは、スペイン人がインカ人を犯しまくって、

人口構成まで変えてしまうことを言うのだろうと、

ペルー人と付き合って、そう思う。



良き習慣、伝統、文化、資質、あるいは思想や哲学などの生きるための知恵、周囲と仲良くする方法論など、

日本人は、かなりいい面を、連綿と受け継いできている。

靴を脱ぐ習慣、風呂に入る清潔感、あるいは、動物をやたら殺して食べないことなどは、

意外と、穏やかな日々の生活には必要なことだろう。


知らないことを、さも知っているように教えるのは、「相手」がいつか困るだろう。

いつか困らないように、教えるのが、おそらく日本人の気の遣い方だろうか。