つまらないことにこだわらない

年取ると、昔をよく思い出すというが、どうも、本当らしい。

また、意外とよく覚えている。


ブラジルに最初に行ったとき、もう何年前になるか、40年ほど前になるが、

便器の横に大きなゴミ箱があって、使用済みのペーパーはその中に捨てるようになっていた。

これには驚いたが、清潔な感覚に慣れている人間にはびっくりだった。

ほどなくして、それからペルーに行ったが、ペルーも同じだった。

使用済みペーパーを便器に流さないのは、ペーパーが溶けて流れないからだ。

日本では、かなり以前から溶けて流れるペーパーを使っている。

当たり前のようで、当たり前ではないことに、驚いた瞬間だった。



当時、ペルーに赴任した際、冷蔵庫を買いに行った。むろんスペイン語は分からないので、現地の日系人について行ってもらった。

気に入った冷蔵庫があったので、購入したが、

「お金は半分だけ払って」

と日系人から注意を受けた。いぶかっていると、

「全額払うと、いつまでたっても届けてくれないから」

という返事だった。

たったこれだけだったが、ペルーで生きていく「術」を教わった。



ペルーでの最大の事件は、なんといっても、大使公邸事件と、ワラルでの農業研究所で、JICAの人たちがテロに殺されてしまったことだが、

日系人の友人が、テロに誘拐されたことだった。

もう、昔に話だが、昨日のように思い出す。

そんなペルーだが、毎年訪問している。が、

今年はコロナのせいでペルーに行けなかった。

多くの友人たちとの交流が楽しみだ。


明日死ぬかもしれない、なら、今を精一杯生きるしかないかな、って思う。

つまらないことに、こだわらないのが、粋だな。