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Channel: 虚空を観じて
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醜い

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昔、キリスト教を生業としていたある日本人が、聖書に疑問を持ち、それをネットで発表し、読者との質疑応答や議論がとても面白く、

しばらくそれを読みふけったものだった。



ペルーはカトリック教徒がほとんどで、おおむね熱心な信者が多い。

ペルーはスペイン語が公用語だが、スペイン語で教育を受けることの意味は、つまり、スペイン語の背景の影響を受けることになる。

つまり聖書の影響になる。「聖書の常識」の山本七平によると、聖書の影響を受けなかった唯一の民族は日本人だと言っている。

そのあたりの知識ゼロの素人には、「ああ、そうなんだ」で済ますが、

これは、日本で生きている間のことで、ペルーで生活を始めると「ああ、そうなんだ」ではすまなくなる。



嫉妬の感情はだれにでもあり、しかも日本では嫉妬の感情は、是とされることがない。嫉妬を表面に出すのは恥ずかしいことであり、醜いものだという感覚というか、生活の知恵というか、そんな文化が日本にはある。

ところが、ペルーで三年も生活すると、ペルー人の嫉妬心が異様に思うようになってくる。

当初、些細なことでも、なんでこんなこと言うのだろうと感じていたが、それが「ああ、嫉妬なんだ」とわかると、

バカバカしくなって、対処の仕方も簡単にできるようになった。



聖書の影響を受けなかった民族、日本人にも嫉妬の感情の制御は難しかったろうと思うが、

嫉妬は醜いものだとすることで、

嫉妬を人生の糧というかバネに変えて成長する術を文化として育んできたように思う。


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