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Channel: 虚空を観じて
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失うのは

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ペルーに最初に行ったとき、その後進ぶりにびっくりしたものだった。

ホルヘチャベス空港に到着し、タラップを降りたとたん、異様な臭いに、

「なんだこの国は」

と思ったし、

空港からホテルに行くまでの道のりには、高いビルがまるでなかった。



ニオイには、吐き気を感じたが、それは食事に使う食用油だとわかった。植物からとったものではなく、魚の油だったので、

使えばすぐ嫌な臭いを発するようになる。

今思えば、日本で使っていた健康に良いとされたサラダ油などより、はるかに優れたものだった、かもしれない。



そんな生活環境だったためか、日本語がわかる、というかスペイン語より日本語が得意な日系人からペルーでの生活で注意する点をいくつか教えてもらった。

冷蔵庫など高価な買い物をする際は、半額だけ支払い、あとは品物を受け取ったときに支払うこと。

交通事故に遭遇したら、自分が被害者なら、すぐ動いて安全な場所に移動すること。そうしないと、二度当てられるから。

どこかで、うずくまっている人を見つけても、助けないこと。

まあ、とにかくペルー人は信用できないから、常に証拠と対処を考えておかなければならない、ということで、

などなど、日本人にはとてもできそうにない事ばかりであった。



その忠告のお陰で、いろいろ問題を起こさず済んだこともあるが、

困ったときは、結局は注意すべきペルー人に助けてもらったし、

困らされたのは、注意しろと教えてくれた日系人だった。


生活環境で、ペルーに移住した日本人の生活の知恵が伝えられたのだろうが、

結局は、日本人もそれに染まってしまう、ということなのかもしれない。




日本人が先祖代々伝えてきた生活の知恵、伝統、習慣には、現代人ではなじめないものもたくさんあるだろうが、

失いたくないものまで、失うのは辛いし、悲しい。

科学者の武田先生が言っていたことだが、

2000年もかけて護ってきた天皇陛下の在り方を、たかだか現代人がそのシステムを壊すような愚かなことをしてもいいのか、って主張していたが、

まったくその通りだろう。


海外からの移民も同じで、一定の割合を超えれば、

失いたくないものまで、失っていくだろう。

隣国では、子供が用足したいとき、場所を選ばず、それが飛行機の中であっても、銀座の通りあっても、

本来のトイレ以外で、それを「平気」でするという。こういった文化というか、習慣というか、伝統は日本にはない。



積み上げるのは、努力、住民の協力、謙虚さ、賢さ、長~い時間など様々なものが必要だが、

壊すのは、おそらく、瞬時に終わるだろう。

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