ペルーには、とにかく中華料理が多かった。
どこにでもあった。
ボリビアになんどか行ったことがあるが、ボリビアには少なかった。
ペルーでは、中華料理レストランを「チーファ」と呼ぶが、
ボリビアでは「マンダリン」と言っていた。中華レストランの名前がマンダリンだったからだが、
そのくらい少なかった。いまでもそう呼ぶか知らないけれど。
ペルーにいたとき、韓国料理をよく食べに行った。安くてうまかった。
立派なレストランだった。韓国レストランは少ないから、日本人にも人気があった。
店主は穏やかな人で、人柄もよさげだった。
表には観光バスが時々止まっていた。
ゴマを自家製で絞っていて、店に入るとゴマの香りが立ち込めて、食欲をそそる。
韓国料理は、注文しなくてもおかずが大量に出てくるが、あれには昔から手を付けなかった。
親父が、
「ラーメン屋では焼き飯は客の食べ残しを使う」
といっていた。
これは、しかし、当時、50年も前なら、「普通」のことであったろうと思う。
ところが、30年ほど前、ペルーに赴任した時、
親父から聞いたことと同じことを聞いた。
客の食べ残しを使うのは、ごく一般的なことだったろう。
世界は、心優しい左翼の人々が主張するほど、穏やかでもないし、おとなしくもないし、遠慮深くもない。
隙あらば、かすめ取ろうという人々のほうが多いだろう。
著名なジャーナリストが、
「どこの国が日本を攻めてきますか?」
なんて、大きな声で主張していたけど、いい大人にしては、愚かな想像だろう。
個人の生活で、日常のちょっとした悪さであっても、ニュースになればああだこうだと言い訳をしたり、逆に訴えたりする。
やくざと渡り合った先輩がいたが、
やくざの問題は比較的解決は易しいといっていた。
素人は些細なことで理屈をこねくり回し、やれ慰謝料だの、損害賠償だの、訴えるだのと、
なかなか終わらないが、やくざはその点「俺の顔に免じて」で終わることが多いという。
「顔に免じて」というほど、こっちは立派な顔じゃいけど、当たっているかも、と思う。
難民が出るほど政情が不安な国って、現代にあって信じられないが、現実だ。
本当は、日本のように、治安が良くて、清潔で、自由で、日常は隙だらけ、しかも腹いっぱい飯が食える、そんな国は、地球上には少ない。
単純だが、時の政権には、これの維持をお願いしたい。